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  • 赤外線光電センサを水ベースの液体の検出に使用する方法

    2017年5月31日

    water bottles, lids blurred

    概要: 透明なボトルに入った透明な液体の存在を検出することは、光電応用分野で最も困難な課題のひとつです。水の充填レベルを検出する方法として、オンライン計量システムや低コントラストセンサ、超音波センサが使用されることがありますが、これらの方法はコストがかかるか、高い信頼性が確保できないという難点があります。バナーのQS30 H2O光電センサで水の光学的な性質を利用して、水の存在を高い信頼性で検出する方法をご紹介します。

    質問:QS30 H20光電センサは本当に透明な水を検出できるのですか?

    あります。水の薄い膜は可視スペクトルの光を通すため、可視LEDの一般的な光電センサでは水を通過してしまい、通常、水の存在を検出するために使用することはできません。一方、QS30 H2Oでは、水や多数の水ベースの液体によって効率的に吸収される、波長1450 nmの赤外線LEDを使用しています。赤外線スペクトルの色を肉眼で見ることができれば、1450 nmでは水は黒色に見えます。 

    質問:このセンサはどのような液体にも使用できますか?

    液体に一定量の水が含まれていれば、使用できます。例えば、ジュースや牛乳、過酸化水素水、消毒用アルコール、整髪用ジェル、石鹸水、酢などに使用できます。水ベースでない液体の場合は、その粘性や色などの要因により、放射された光が部分的にさえぎられることがあります。しかしながら、1450 nmの波長を使って水ベースの液体を検出できるというこのセンサの主要な強みは、植物性油脂や炭化水素を含む液体を扱う用途には役立ちません。もしお客様が扱っている液体が検出されるかどうかを知りたい場合には、当社にサンプルをお送りください。当社の方でテストしてお知らせします。

    質問:このセンサを使って、含水量が多い固体を検出できますか?

    できます。QS30 H2Oは通常の光電センサと同じように、水を含まない固体の検出にも使用できます。放射された光ビームをターゲットが十分にさえぎることができれば、検出が可能です。

    質問:このセンサを使って、液体中の水の割合を知ることはできますか?

    いいえ。このセンサでサンプルに含まれる水の割合を測定して出力することはできません。このセンサは水の存在の有無を検出するもので、可視光光電センサにとってコントラストが非常に低く、検出が困難な場合に使用します。

    QS30EX Rinser Filler Capper Beverage Filling Line

    画像:赤外線光電センサで透明なボトルに入った水を検出

    質問:液体の色は重要ですか?

    はい。液体の色は、液体にさえぎられる光の全体量に影響します。例えば暗い色のコーラでは透明な水より多い光量がさえぎられます。着色された液体の存在を検出する用途には、標準的な赤色LEDセンサが適していることがあります。QS30 H2Oセンサでは水の1450 nmの吸収帯を利用して、さらにコントラスト感度が得られます。

    質問:このセンサは透明な容器を使うときだけ機能するのですか?

    いいえ、このセンサは消費財に広く使用されている多くの容器を透過できるように、非常に高い過剰ゲインを持った設計になっています。センサの投光器からの光は、ガラスや透明なプラスチックのように透明な容器を容易に透過します。その他にも、つや消しガラスボトルや、半透明であるけれど完全に不透明ではない薄肉のプラスチック容器も透過されます。ただし、段ボール箱や金属製の缶は使用できません。ボトル側面のラベルも光軸と干渉することがあります。不透明な容器の場合は、センサを適切に利用するためにテストや応用サポートが必要になる場合もあります。

    質問:なぜセンサは特定の材料を透過し、その他の材料は透過しないのですか?

    QS30 H2Oセンサは非常に高い過剰ゲインに対応するように設計されており、そのため容器によっては透過することができます。しかし、光は材料に応じてさまざまに作用しますので注意が必要です。光を簡単に伝播する材料もあれば、さえぎったり吸収する材料もあります。また、材料の厚さは通過する光の量やさえぎられる光の量に直接影響を及ぼします。     QS30 H20の超ハイパワーモデルはさらに高い透過力を備えており、肉厚の容器に入った液体の検出も可能です。 

    質問:水を検出する際、コンテナの形状がセンサの性能に影響することはありますか?

    あります。容器の形状や色は重要です。ラベルによっても容器の透過に影響が出ることがあります。多くの場合、容器自体の厚みはかなり薄く、中身の液体は厚い層になります。ちょうど、水が入ったプラスチックボトルのような感じです。容器が空の場合、薄いプラスチックによってさえぎられる光の割合は小さくなります。一方、水が入った容器では、比較的厚い水の層によって、投光された光のうち大きい割合が吸収されます。水は波長が1450 nmの光を吸収するため、空の容器と満杯の容器の間にコントラストが生じることで高コントラストの検出につながります。

    質問:このセンサで検出を成功させるカギは何ですか?

    このような用途では、QS30 H2Oが空の容器を透過するかどうかがカギを握ります。センサが空の容器を透過できるようであれば、通常はどのような水ベースの液体であってもその存在を高い信頼性で検出できます。

    質問:このセンサの過剰ゲインはどのようにして制御するのですか?

    透過型センサの投受光器には高ゲインモデルと低ゲインモデルがあります。システム全体のゲインは、開口部を使用して光軸の一部をさえぎることで調整できます。または、センサを少しずらして受光器に到達する光量を減らすこともできます。開口部によってセンサの有効ビームの形状も変わります。これは、容器内の充填レベルを確認するとき、あるいは13 mm径のセンサの有効ビームより小さい容器の場合に役立ちます。

    質問:半透明の容器にはどのセンサを選べばいいですか?

    長い検出距離が必要な場合、またはつや消し容器や半透明の容器には、高ゲインモデルを推奨します。低ゲインモデルは、検出距離が短い場合や透明な容器および液体に適しています。

    この記事で取り上げられた製品

    QS30シリーズ 高性能長距離センサ
    QS30シリーズ 高性能長距離センサ

    検出距離最大200メートルの高性能センサ。E/Mリレー出力モデルを用意。

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